【活動報告】インドネシア・バンダ・アチェでの災害と障がいに関わるフィールドワーク(令和6年1月29日―2月8日)
2024年3月05日
2024年1月29日から2月8日まで、ボレー・セバスチャン准教授(国際研究推進オフィス)、朴慧晶助教(災害医療情報学分野)はインドネシアのバンダ・アチェで現地の共同研究者(Alfi Rahman、Syiah Kuala University、Praditia Putri Pertiwi、Gadjah Mada University、Muzayin Nazaruddin、Universitas Islam India、Yulia Direzkia、アチェ総合病院臨床心理士)と共に「インドネシアにおける災害と障がい関する研究: 2004年インド洋地震と津波から学ぶ」と題した共同研究の一環でフィールドワークを実施しました。
この研究の全体的な目的は、2015年のUNSDGによって作成されたスローガン「誰一人取り残さない」を参照し、障がいのある人々とその介護者のニーズを理解すること、そして、これらの人々にインクルーシブな防災の機会を提供することです。研究チームは、3年の研究期間を設定し、2004年のバンダアチェにおけるインド洋地震と津波から障がいのある人々の経験を理解し、バンダアチェ政府が障がいのある人々の災害リスクを軽減するために開発した近年の規制や政策を調査することを目標にしました。
フィールドワークでは、国が支援するインクルーシブ教育システムを導入している高校(Man1)と小学校(Min9)の2つのモデル学校と、様々な障がいを持つ学生さんが登録されている支援学校(SLB TNCC)を訪問しました。研究チームは校長先生や教師にインタビューを行い、障がいのある学生さんたちがインクルーシブ教育に関わる様々なカリキュラムにどのように組み込むことができるか、また災害への備えの必要性について調査しました。また、バンダアチェで障がいのある人々との関係性を開発するために活動しているNGOとインタビューを実施しました。研究チームは、政府や海外援助による多くの努力にもかかわらず、障がい者や福祉制度の欠如など、弱い立場にある人々が依然として多数存在することを把握できました。最終的には、障がいのある人々の社会環境、災害経験、災害への備えの必要性を理解するために個々の参加者とのミーティングを行いました。その参加者には、知的障がいのある息子を育てる母親や、2004年の津波で片足を失い、現在は障がいのある若者を支援する団体を運営いる女性など、障がいと向き合う様々な人々が含まれていました。
さらに、研究チームはシア・クアラ大学の津波・防災研究センター(Tsunami and Disaster Mitigation Research Center、TDMRC)を訪問し、2024年11月8~9日に開催される2004年インド洋津波の20周年記念のための2024年AIWEST-DRについて議論しました。将来、この共同研究グループが持つ様々な現場経験と固有の知識に基づいて、2024AIWEST-DRはインクルーシブ防災の実現と災害リスクへの対応キャパシティーを強化するためにもう実践的・体系的な災害リスク軽減措置を講じることに貢献します。
文責:ボレー・セバスチャン准教授(国際研究推進オフィス), 朴慧晶助教(災害医療情報学分野)