シンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開」
2018年1月31日
7年前の東日本大震災は、日本列島が地震・津波をはじめとした様々な災害の多発地帯であることを我々に知らしめました。一方で、日本には災害が多発する故に、過去の災害における様々な痕跡や、先人達の記録が数多く残されています。東日本大震災以降の災害研究を展開する上で、これらの日本における災害の歴史を紐解くこと、さらにこれらの災害の歴史を伝える多様な資料に注目が集まっています。
東北大学では2012年に災害科学国際研究所を新設し、実践的防災学の構築を目指して、文系と理系の研究者による文理融合型の災害研究を展開してきました。また、東北大学は2017年6月に指定国立大学の認定を受け、世界トップレベルの研究拠点を目指す4領域として「災害科学」を掲げています。さらに、災害で被災した歴史資料の保全活動を積極的に展開するため、2018年1月に東北大学と人間文化研究機構・神戸大学との間で連携協定を締結し、全国規模で歴史資料の保全と活用をはかる歴史文化遺産ネットワーク事業を開始することにしています。
本シンポジウムでは、東日本大震災をうけて展開された文化財や歴史資料の保全活動や、東北地方で過去に発生した歴史災害に関する研究の成果を報告し、史資料の保全・活用と文理融合型の災害研究を相互的に発展させるための意見交換をはかることにしたいと思っています。
皆さまのご参加をお待ちしております。
<プログラム>
13:00-13:05 所長挨拶
第一部:文理融合型による災害研究の展開(司会:サッパシー・アナワット)
13:05-13:20
「災害科学国際研究所における文理融合型の研究活動について」
今村文彦(東北大学災害科学国際研究所所長)
13:20-13:25
「貞観地震・津波研究の現状と課題―陸奥国府多賀城跡における被害と復興を中心に」
柳澤和明(東北歴史博物館研究員)
13:30-13:45
「地質記録にみる東北地方太平洋沿岸の津波履歴」
後藤和久(東北大学災害科学国際研究所准教授)
13:45-14:00
「歴史学研究の観点からみた慶長奥州地震津波」
蝦名裕一(東北大学災害科学国際研究所准教授)
14:00-14:15
「土木史からみる石巻と北上川」
平野勝也(東北大学災害科学国際研究所准教授)
第二部:被災史料を活用した新たな研究の展開(司会:佐藤翔輔)
14:30-14:45
「仙台湾岸における海岸防災林の履歴」
菊池慶子(東北学院大学文学部教授)
14:45-15:00
「明治三陸津波と大船渡の近代化―被災資料の保全作業を通して―」
川内淳史(神戸大学大学院人文学研究科特命講師)
15:00-15:15
「唐丹村行政文書にみる昭和三陸津波への対応」
熊谷 誠(岩手大学地域防災研究センター特任助教)
15:15-15:30
「三陸沿岸と災害文化」
川島秀一(東北大学災害科学国際研究所教授)
コメント
15:30-15:40 奥村弘(神戸大学大学院人文学研究科教授)
15:40-15:50 平川南(人間文化研究機構理事)
(休憩)
16:00-17:00 パネルディスカッション(コーディネーター:今村文彦、奥村弘)

イベントポスター